手入力業務にかかる時間を削減するには?業務の見直しと自動化の進め方
2026/10/22
■ はじめに
企業では、紙の書類やPDFに記載された情報をシステムへ入力するなど、さまざまな手入力業務が発生しています。申込書や注文書、請求書などを扱う部門では、日々の入力作業に多くの時間がかかり、本来取り組むべき業務に十分な時間を割けないこともあるでしょう。
また、入力作業が複数の拠点や担当者に分散している場合、作業方法の違いや重複作業が業務全体の負担につながることもあります。
こうした課題を改善するには、単に入力作業を速くするだけでなく、手入力が発生している原因を把握し、業務の進め方そのものを見直すことが重要です。不要な作業の削減や業務手順の標準化、自動化などを組み合わせることで、手入力にかかる時間を削減し、業務効率の向上を目指せます。
本記事では、手入力業務に時間がかかる原因を整理したうえで、業務の見直し方や時間削減に向けた具体的な進め方を解説します。
■ 手入力業務に時間がかかる原因
手入力業務の負担を減らすには、まず、どの作業に時間がかかっているのかを把握する必要があります。
入力そのものだけでなく、入力前後の確認や修正、担当者間の情報共有などにも目を向けることが大切です。
● 紙やPDFの情報をシステムへ入力している
紙の申込書や注文書、PDFの請求書などを確認しながら、業務システムや管理表へ情報を入力していると、書類の確認と入力を繰り返すことになります。
特に、処理する書類の件数が多い場合や、記載項目が多岐にわたる場合は、1件あたりの作業時間が短くても、積み重なることで大きな負担になります。
書類の内容を目視で確認しながら入力する作業では、入力漏れや誤入力が発生することもあります。
● 同じ情報を複数のシステムへ入力している
一度入力した情報を別のシステムや管理表にも登録している場合、同じ内容を繰り返し入力する必要があります。
例えば、受け取った注文書の内容を受注管理システムに登録した後、別の管理表にも同じ情報を入力しているケースです。こうした作業が日常的に発生していると、入力にかかる時間が増えるだけでなく、転記時の誤りやデータの不一致も起こりやすくなります。
● 入力内容の確認や修正に時間がかかる
手入力業務では、データを登録する作業だけでなく、入力内容が正しいかを確認する作業も発生します。
例えば、金額や日付、取引先名などの入力ミスを確認したり、記載内容が不明瞭な書類について担当者へ問い合わせたりするケースです。入力後のチェックに加え、誤りが見つかった場合には修正や再確認も必要になります。
● 拠点や担当者ごとに作業方法が異なる
複数の拠点で同じような手入力業務を行っている企業では、拠点や担当者によって作業手順、使用する管理表、確認方法などが異なる場合があります。
例えば、ある拠点では書類を受け取った担当者が入力し、別の拠点では事務担当者がまとめて入力するといった違いです。作業方法が統一されていないと、業務の引き継ぎが難しくなったり、処理時間や入力品質に差が生じたりすることがあります。
■ 手入力業務の時間を削減する4つの方法
手入力業務の時間を削減するには、入力作業だけに注目するのではなく、業務全体の流れを見直すことが重要です。ここでは、取り組みやすい4つの方法を紹介します。
❶ 不要な入力項目や重複作業を見直す
まずは、現在行っている入力作業の中に、削減できるものがないかを確認しましょう。
業務によっては、以前からの運用を引き継いでいるものの、現在は使われていない項目を入力していたり、別のシステムに登録済みの情報を再入力していたりすることがあります。
例えば、次のような見直しが考えられます。
- 利用されていない入力項目を削減する
- 同じ情報を複数の管理表へ登録する必要性を確認する
- 既存データを再利用できる業務を整理する
- 入力前後の確認手順に重複がないかを見直す
不要な作業を減らすことで、新しいシステムを導入しなくても入力にかかる時間を削減できる可能性があります。
❷ 入力ルールや業務手順を標準化する
入力項目や作業手順が担当者ごとに異なる場合は、業務ルールを統一することも有効です。
例えば、日付や金額の入力形式、取引先名の表記、入力後の確認方法などを共通化することで、担当者による作業のばらつきを抑えられます。
複数拠点で同じ業務を行っている場合は、各拠点の運用を確認し、共通化できる部分から標準化を進めるとよいでしょう。手順が明確になれば、担当者の変更や他拠点への業務移管にも対応しやすくなります。
❸ 業務の集約によって重複作業を減らす
複数の拠点で同じような入力業務が発生している場合は、業務の集約も選択肢になります。
例えば、各拠点で個別に行っている書類の入力や確認を、共通の事務部門へ集約し、業務をまとめることで、作業手順や管理方法を統一しやすくなります。
一方で、すべての業務を集約すればよいとは限りません。拠点ごとの判断が求められる業務では、集約によってかえって処理に時間がかかることもあります。
そのため、集約を検討する際は、各拠点の業務量や処理期限、書類の受け渡しにかかる時間などを踏まえ、集約するメリットが大きい業務を選ぶことが大切です。
❹ ツールを活用して入力作業を自動化する
業務の見直しだけでは削減が難しい場合は、ツールを活用して手入力そのものを減らす方法もあります。
例えば、システム間のデータ連携によって同じ情報を繰り返し入力する作業を減らしたり、紙やPDFの帳票から情報を読み取る仕組みを導入したりする方法です。
自動化する業務を選ぶ際は、作業件数や1件あたりの処理時間、入力項目の数、確認・修正にかかる時間などを把握しておくと、改善効果を検討しやすくなります。
■ 手入力業務の改善を進める手順
手入力業務の時間を削減するには、課題を把握したうえで、改善する業務を選び、効果を確認しながら取り組むことが重要です。最初からすべての業務を変えようとするのではなく、負担の大きい業務から段階的に改善を進めましょう。
● 入力作業の内容と所要時間を把握する
どの業務で、どのような手入力が発生しているのかを整理します。入力する書類の種類や件数、作業の担当者、入力先のシステムなどを確認しましょう。
このとき、データを入力する時間だけでなく、書類の仕分けや内容の確認、入力後のチェック、修正にかかる時間も含めて調査することがポイントです。
例えば、次のような項目を整理すると、改善すべき業務を見つけやすくなります。
- 対象となる書類の種類と月間処理件数
- 1件あたりの入力・確認にかかる時間
- 入力ミスや差し戻しの発生頻度
- 作業を担当する人数や拠点数
- 入力後のデータを利用するシステムや部門
複数拠点で同じ業務を行っている場合は、拠点ごとの作業時間や手順も比較してみましょう。
● 削減効果が大きい業務から優先する
入力業務を洗い出したら、改善に取り組む優先順位を決めます。すべての業務を同時に改善しようとすると、検討や導入にかかる負担が大きくなるためです。
例えば、毎日大量に処理する書類や、複数拠点で繰り返し発生する入力作業は、改善による効果が大きくなる可能性があります。一方、処理件数が少ない業務や、個別の判断が多い業務は、自動化よりも手順の見直しが適している場合もあります。
まずは、作業時間が長く、手順が比較的定型化されている業務から着手するとよいでしょう。
● 改善策を試し、効果を測定する
改善する業務が決まったら、実際に対策を試し、どの程度の効果が得られるかを確認します。
主な評価指標には、次のようなものがあります。
- 入力・確認作業にかかる時間
- 1件あたりの処理時間
- 入力ミスや修正の発生件数
- 担当者の作業負担
- 業務全体の処理件数や処理期間
作業時間が短縮されても、確認や修正にかかる時間が増えていれば、期待した効果が得られていない可能性があります。入力作業だけでなく、業務全体の負担がどう変化したかを確認しましょう。
● 効果を確認し、ほかの業務や拠点へ展開する
試験導入で効果が確認できたら、対象業務の範囲を広げることを検討します。
複数拠点で同様の業務が発生している場合は、改善した手順や運用ルールを共有することで、ほかの拠点でも効率化を進めやすくなります。
ただし、拠点によって書類の種類や処理方法が異なる場合は、そのまま同じ方法を適用できるとは限りません。共通化できる部分と、個別の対応が必要な部分を整理し、現場の状況に合わせて展開することが重要です。
■ 手入力業務の自動化にAI-OCRを活用する
紙の書類やPDFに記載された情報をシステムへ入力している場合は、AI-OCRを活用する方法もあります。

● 紙やPDFの帳票からデータを読み取る
AI-OCRは、紙の書類をスキャンした画像やPDFなどから文字情報を読み取り、データ化する際に活用できます。
例えば、申込書や注文書、請求書などの情報を担当者が目視で確認しながらシステムへ入力している場合、AI-OCRによって読み取り作業を効率化できる可能性があります。
従来の手入力では、書類を確認し、必要な項目を探し、入力先へ転記する作業が必要でした。AI-OCRを活用すれば、こうした作業の一部を自動化できるため、担当者は読み取り結果の確認や、個別の判断が必要な業務に時間を使いやすくなります。
ただし、読み取り精度は書類の状態や記載内容などによって異なります。
手書き文字や不鮮明な画像、書式が統一されていない書類などでは、読み取り結果の確認や修正が必要になる場合があります。
そのため、導入を検討する際は、実際に扱っている書類を使って読み取り精度を確認し、確認・修正を含めた業務全体の時間を比較することが大切です。
■ 自動化に適した業務と導入時の確認点
AI-OCRを導入する際は、すべての書類を一度に自動化しようとするのではなく、導入効果を得やすい業務から検討するとよいでしょう。
例えば、処理件数が多い書類や、定期的に同じような情報を入力している業務は、改善対象の候補になります。一方、書類ごとに記載内容が大きく異なる場合や、入力内容について個別の判断が多い場合は、運用方法を慎重に検討する必要があります。
導入前には、次のような点を確認しておきましょう。
- 読み取り対象: 紙、スキャン画像、PDFなど、実際に扱う形式に対応しているか
- 読み取り精度: 自社の書類で必要な精度が得られるか
- データの出力方法: 読み取った情報をCSVやAPI連携などで後続業務に利用できるか
- 確認作業: 読み取り結果の確認や修正にどの程度の時間がかかるか
- 費用対効果: 導入費用や運用費用に対し、どの程度の時間削減が見込めるか
また、複数拠点で利用する場合は、各拠点の書類や運用方法に対応できるか、データの管理方法を統一できるかも確認しておくと安心です。
■ AI-OCRとAI検索を組み合わせ、データ活用につなげる「AIRO」
手入力業務の削減に加え、書類から取得した情報を業務で活用したい場合は、AI-OCRの読み取り機能だけでなく、その後のデータ活用も考慮することが重要です。
「AIRO」は、AI-OCRとAI検索(RAG)を組み合わせたサービスです。紙やPDFなどの書類に含まれる情報のデータ化に加え、蓄積した文書情報を検索・活用する用途にも対応しています。
AIROでは、帳票の種類ごとに事前設定を行うことなく、書類をアップロードして情報を読み取る運用を目指せます。手入力が発生している書類業務を見直す際に、入力作業の効率化と、その後の情報活用をあわせて検討できます。
また、CSV出力やAPI連携を活用することで、読み取ったデータを後続の業務に利用する方法も検討できます。具体的な連携方法は、利用するシステムや業務フローに応じて確認することが大切です。
AIROの機能や料金、活用方法について詳しく知りたい方は、製品資料をご覧ください。
■ まとめ|手入力業務を見直し、時間削減につなげよう
手入力業務にかかる時間を削減するには、入力作業そのものだけでなく、業務全体の流れを見直すことが重要です。
不要な入力や重複作業の削減、業務手順の標準化、拠点間での業務集約など、課題に応じた改善策を検討しましょう。さらに、紙やPDFの情報を入力する作業にはAI-OCRを活用することで、手入力の負担を減らせる可能性があります。
まずは、どの業務にどれだけの時間がかかっているのかを把握し、改善効果が大きい業務から取り組むことが大切です。業務の見直しと適切な自動化を組み合わせ、継続的な業務改善につなげましょう。